ラオス


メコン川のほとり、伝統を継承するシルク工房

ラオスの古都ルアンパバーンの郊外、メコン川のほとりにこの工房はあります。失われつつある伝統技術を継承し、女性達に働く場を与える目的で設立されました。

紀元前から続くと言われ、多くの少数民族それぞれが独自のデザインを持っている、ラオスの織物文化。貴重な数百年前の古布から彼女たちは伝統技術を学び、蘇らせています。

絣(*1)、紋織(*2)など、高度で複雑な織りもすべて手作業。ここで働く女性達の多くはマスタークラスの技術を持っていて、郊外に住む女性達にも指導しています。

(*1) 糸を染める前、模様を出したい部分をあらかじめ他の糸でくくることによって防染し、織ったときにテキスタイルに模様が現れる技法
(*2) 緯糸と経糸で色の異なる糸を使い、模様部分を浮かせる技法

<ラオスの織物の歴史>

絹織物の歴史は、約4,500年前に中国ではじまり、シルクロードを渡り世界中に広まりました。ラオス に伝わったのは約3,000年前、中国南部の人々が移住してきてからです。高床式の家の下に娘の数だけ 織機があると言われ、母から娘へ継承されてきた養蚕や染色、織りの技術も、18 世紀以降、多くの戦争 や内戦により衰退の一途をたどっていました。しかし 30 以上の民族が暮らすといわれるラオスの、なかでも少数民族がその伝統を今日まで継承してきたのです。「シン」と呼ばれる筒型のスカートやスカーフに用いられるモチーフはナガ ( 蛇の姿をした仏法の守護神 ) などの神様、寺院や仏塔の他、鶏や花など生活に密着したものも多い。