ウィーンの老舗シルク工房|オーストリア旅行記02

オーストリアのシルク工房

ウィーン中心部からバスを乗り継いで1時間、こじんまりとした工場地帯にやってきました。比較的新しいと思われる外観のシルク工房は、歴史の詰まった博物館のようなところでした。

そもそも、なぜウィーンのシルクなのか。現代ファッションの基礎であるヨーロッパ文化を語る上で、650年間にわたってハプスブルク家の帝国として栄華を誇ったウィーンは外せないし、当時の織物、デザインを実際に見てみたかったからです。

古くからヨーロッパ随一の芸術の都として栄えた、中欧オーストリアの首都ウィーン。まだハプスブルク家の帝国として繁栄していた1836年に設立されたのが、こちらのシルク工房です。ハイクオリティなジャガード織りが評判を集め、1900年頃には500の織り機、1,000人の従業員を抱えるようになります。世界中のファッション生地を手掛け、かのエリザベス女王の衣装まで製作したのだとか。

オーストリアのシルク工房

オーストリアのシルク工房

20世紀に入ると、二度の世界大戦による不景気、アジアをはじめとする新興国の安い労働力に追われてしまい、ウィーンの伝統的なシルク製造は衰退。この工房も経営危機に陥ることもありました。現在は家族経営の小さな工房になりましたが、歴史あるデザインを守り続けています。

オーストリアのシルク工房

オーストリアのシルク工房

オーストリアのシルク工房

工房で働くデザイナーに話を聞くと、膨大なアーカイブから日々インスピレーションを得られるので、ネタは尽きないそうです。180年以上に渡るアーカイブを保存する工房は、ウィーンにはほとんどありません。ヨーロッパ的なデザインだけではなく、日本の着物を思わせるデザイン、インドから影響を受けたと思われるオリエンタルなデザインなど様々。新しいデザインとは何なのか、改めて考えさせられます。

シルク・アーカイブ

シルク・アーカイブ

シルク・アーカイブ

 

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